女峰は1985年に栃木県で作られた品種です。1990年代前半は「東の女峰、西のとよのか」と言われるほど最もポピュラーな品種でした。しかし品種改良により、年々生産量が減少し、今では生産量の9割が香川県で栽培されています(2012年11月現在)。香川県でも品種の転換が進んでいるので、幻のいちごになる日も遠くないかもしれません。
女峰いちごの主な特長はほどよい酸味があり、中まで赤く、実がしっかりしていることです。
中まで赤い女峰は切った断面が鮮やかできれいです。またジャムやソースにしてもきれいな赤色に仕上がります。そして完熟で収穫しても実がしっかりしているので傷みにくく、輸送性にも優れています。
いちごは数をつけすぎると1つの実の大きさが小さくなり、味も落ちてしまいます。苺ファーム森本では1つの花房に5~7個の実だけをつけるようにしています。それ以上についた実は蕾の段階でとってしまいます。少し可哀想に思われるかもしれませんが、いちごは花を咲かすときに一番エネルギーを使うので、そのエネルギーを節約して残った実に十分な養分を行き渡らすためにも必要な作業です。
私たちが最も重要と考える作業が「手入れ」です。「手入れ」とはいちごの葉っぱやランナー(長くて柔らかいツル状のくき)、脇芽、余分な実を取り除くことです。葉が生い茂っていると実が葉の陰になって太陽に当たらなくなり、いちごの色、ツヤ、味が悪くなってしまいます。また、光合成に必要な葉っぱの面積はだいたい5~6枚なので、それ以上になってくると新しい葉っぱ一枚の大きさが小さくなり、光合成の効率が低下します。なので葉が展開する速度にあわせて、毎日少しずつ手入れをして1週間~10日でハウスを一順して、それをずっと繰り返します。